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私のネチケット

はじめに

  電子メールなど、インターネットを使ったコミニケーションの手段が
  急速に普及してきました。
  社会人の方々に「メール入門」といった講習をする機会がありますが、
  そこで出来るのはせいぜい「宛名を書いて切手を貼ってポストに入れ
  れば届く」程度の事です。
  確かにまず必要なことではあるのですが、それだけではないでしょう。
  普通の手紙なら時候の挨拶から始めるとか、事務連絡の文書ならまず
  右上に日付を書くといった型があります。
  手紙のやりとり、町ですれ違った人との挨拶といったことは、これま
  で社会で積み上げられてきた常識があり、小笠原流などと決まり事に
  なったり師匠に教わったりすることもありますが、大体は「人のする
  ことを見習って身につける」ものでしょう。
  「オイ元気か」と一行だけのはがきで充分に気持ちが通じることもあ
  るでしょうが、それはあくまで「型に入って型を出た」場合だと思い
  ます。
  インターネットについては、まだこういった社会的な約束が固まって
  いず、見習うべき先輩もあまり見あたりません。
  こういうことを人様に教える立場になることもある者として、先輩と
  言うほどではありませんが、勉強したことをまとめました。
  参考にしたホームページをリンク集にあげておきます。

  私は出来るだけこういったことを守ろうと思います。
  メールをやりとりしている友人や、仕事でお世話になっている方々が
  無手勝流であっても、苦情を言ったりはしませんが、もし何かの参考
  にでもしていただければうれしいです。

  この内容について「マルチメディア市民活用研究会」2000年5月
  例会で皆様から貴重な意見をうかがい、参考とさせていただきました。
 

1.インターネットが普及してきた

  例えて言えば峠越えの道しか無かったのどかな村に、ハイウエイが開
  通したようなものです。
  どこへでも簡単に出かけられる代わりに、いろんな人もやってきます。
  「カギなんかかけたことはない」と言うわけには行きません。便利に
  なった代償として、広い世間と付き合って他人に迷惑をかけず、わが
  身を守るエチケットや心得が必要なのです。

  「ほんのちょっとしたこと」をみんなが守らないために、結果として
  社会全体が迷惑をこうむることがあります。
  その昔、公害といえば一部の悪い人の行為のため全体が迷惑すること
  と考えられていました。
  いまでもそのような事件は起こりますが、みんながすこしづつ捨てた
  ゴミが積もりつもって大変なことになる「加害者=被害者」型の公害
  もあるのです。
  個人同士のメール交換の場合は、何かあっても二人の間で収まること
  が多いので、箸の上げ下ろしまでこだわることも無いだろうとは思い
  ますが、上記のゴミ公害の見地から、少しうるさくすることにします。

2.インターネットの仕組み

  郵便で手紙を送る場合、手紙を書いて送るコストは発信者が負担しま
  す。
  受け取り側の手間としては、郵便箱を取り付けるぐらいでしょう。
  Eメールの場合、一人に送るのも千人に送るのも発信者の手間はあま
  り変わらないのですが、受信側ではメールボックス(メールを受け取
  る場所)を用意したり
    具体的には、自分で設置したり、プロバイダに申し込んで確保し
    たりしたコンピュータの、ハードディスクの一部分
  回線に接続したりする費用を負担することになります。
  不必要に大きなメールを送ることは、通信回線の混雑を増やしてみん
  なの迷惑になるとともに、メールボックスを占領したり余分な回線費
  用を負担させることによって受信側の迷惑になります。
  またメールはインターネットに接続されたコンピュータの間を次々リ
  レーされて伝わってゆくので、不具合のあるメールは、最悪の場合、
  システムを破壊するおそれもあります。
  これらは、発信側が気を付けるべきことなのです。
  混乱を起こすことのみを目的にする犯罪者がいますが、たとえそんな
  つもりはなくとも、結果としてインターネット社会に迷惑をかける行
  為は厳しく批判されても仕方ありません。

3.一般的なお作法

  町内の寄り合い、同窓会、得意先との会議などつき合う相手によって
  服装やしゃべり方が変わるように、メールの書き方も変わります。
  アメリカでのビジネスメールは、英文タイプで打っていた時代とほと
  んど同じで、肉筆のサインが無いぐらいだそうです。
  国内でも会社によっては、メールの標準様式が決められています。
  お作法とはちょっとちがいますが、仕事でメールを使う時、確実に相
  手に目を通してもらうために、最初のほうに「何に関することか」を
  要約しておくとか、本当に伝えるべき相手を絞ってTOに入れるなど
  の心得があるそうです。

  一方、友達同士で堅苦しくすることも無いでしょう。
  メーリング・リストなどに参加したとき、最初は読むだけにしてペー
  スをつかむのも手です。
  以下は、割合気楽な仲間との場合を想定していますが、メール全般に
  通用することもあります。

  ・subject(題名)を簡潔に書き、最初の1行目に発信者の名前を書く。
   読む人がそれだけで大体の見当を付けられるように。
   本文が長いときは題名で(長文)と断る。
  ・60字から70字を目安に積極的に改行する。
   書いたとき折り返したように見えても、読む側でつながってしまう
   ことがある。
  ・5行から6行を目安に、一区切りとして空白行を入れ、見やすくす
   る。
   ぎっちり詰めたり、逆に意味もなく1行おきに書いたりすると、読
   みにくい。
  ・特殊記号(マルで囲った数字や半角カナなど)は文字化けのもと。
   文字化けはほとんどの場合、発信側の責任。
  ・文の最後に signature(連絡先や個人情報)を入れるが、出す相手
   によって使い分けるべき。あまり凝りすぎないように。
  ・メールは開封のまま次々転送されてゆくもの。はがきには書かない
   暗証番号などは書かないのが安全。
  ・面と向かって会話するのと比較して、キツい調子になりやすいこと
   を心得ておく。
  ・メールは電話ではない。すぐ返事が来ない場合もある。
   システムの具合で、むやみと時間がかかったり、途中で消滅する可
   能性もあることを心得ておく。   
   何かの事情で、ある期間メール環境を離れる場合、そのことを表明
   しておくのが親切。事情までいちいち明かにする必要はないが。
  ・まさか、と思われるだろうが宛先間違いがよくある。
   自分の手で一字づつ書くのでなく、リストから選んでクリック一発
   が多いので起こりやすい。ご用心。

4.添付ファイルに気をつけよう

  ご存じの通り、コンピュータウイルスというものがあり、それをばら
  まくことを楽しみとする連中がいます。
  メールの場合、ウイルスは添付ファイルに仕込んであるのが普通です。
  知らない人から来たメールに添付ファイルがあったら絶対開かないの
  が常識。
  信用出来る仲間同士のメールでも、添付があるとき「何の文書か」を
  明記しておくのが礼儀です。
  メールボックスの容量は有限なので、あまり大きな添付文書はメール
  システムで断られることもあります。最近流行のデジタルカメラの画
  像など、そのまま送れば引っかかる可能性が大きいです。
    私の知人で、子供達(遠方だったり外国だったり)に家族写真や
    近所の風景を送る目的だけでホームページを立ち上げている方が
    います。
        メールで送るよりスマートで実用的な方法だと思います。

  HTML文書というのがあります。ホームページ用の文法で文字に色
  を付けたり、大きくしたり、画像を入れたり出来るので普通のメール
  のテキスト文よりしゃれた表現が出来るという訳ですが、単に文章を
  送る場合に使ってはいけません。
  メーラ(メールを扱うソフト)によっては、初期設定でHTML使用
  としてあるのがありますが、そのままにしておくと普通のメールの後
  にHTML形式の添付ファイルが付いて送られます。
  同じ内容がだぶって送られる訳ですし、受けるメーラによっては訳の
  わからないお化けがくっついていると見えますので、注意して下さい。
  メールの基本は、単純なテキスト文書です。

  たとえば同窓会の住所録をEXCEL文書にして添付するとき、発信
  側が新しいバージョンだと、受信側のバージョンによっては開けない
  場合もあります。
  こういうとき、古いバージョンの文書も作って新しい方と同梱すると
  いう心遣いをする方もいらっしゃいます。

5.返信するときには

  Aさんから来た「例の件だけど」というメールに返信すると「RE:例の
    件だけど」などと題名がつくのはご存じの通り。
  そして、メーラによって自動的にAさんから来た最初のメール全文が
  付けられます。
  ほんのすこしの手間ですから、ぜひ編集して本当に必要な部分だけを
  添付して送り返してください。
  せっせと書いた長いメールを送ったら、「そうだね」と一行だけ感想
  をつけてそっくり送り返すのは、心遣いに欠ける行為だと思います。
  返信に返信して最初からの添付がそのままで、どんどん膨れ上がって
  行くというのも時々見かけますが、感心しません。

  一対一のビジネスメールの返信で、相手のメールをそのまま添付して
  おく型もあるようですし、死ぬほど忙しくて添付部分を編集している
  ヒマがないという場合もあるでしょうが、少なくともメーリングリス
  トのように同一文書を大勢に送るときは、添付部分をできるだけ編集
  しておくべきです。
  
  最初のメールに添付文書があると、返信では省略されるはずですが、
  何かの間違いで化けたりして意味不明の部分が後ろにくっついたまま
  そっくり送り返したりするのは最悪です。
  「ウイルスを送るつもりか」と受け取られても仕方ない行為です。

  添付文には >  などの引用マークがつきますが、
  私は、一対一メールの場合は
        > あれは
        > これは
        そうですね
  メーリングリストのように複数の人にあてる場合は、
        Aさん>
        > あれは
        > これは
    そうですね
  と一行目だけに発信元の名前を書くようにしています。

6.チェイン・メール

    昔、幸福の手紙というのがありました。
  騒ぎが広がって行くだけのことを楽しもうという愉快犯です。
    最近では「当たり屋グループの車は..」というFAXを良く見かけ
    ます。
  ネットの世界では「こういうコンピュータウイルスに気を付けろ」な
  どとなります。いわゆるネズミ講もこの方式です。
    ネズミ講の場合、転送した時点であなたも違法行為を犯したこと
    になります。
  いずれにせよ、「見たらすぐ次に連絡して...」というメールは、
  ほとんどの場合、根拠のないいたずらです。
  「こういう特殊な型の血液の提供者をさがしている」といった差し迫
  った事情のある場合でも、追加や修正がこの「次々」方式では不可能
  ですから、結局いたずらにネットの負荷を増やし、転送したあなたの
  常識を疑われるだけです。
  本当にみんなに知らせるべき情報は「次々転送」方式でなく、しかる
  べき立場の人が、情報の出所を明らかにして公開するものです。
  たとえ信頼出来る友達から来たメールであっても転送しないように。

7.迷惑メール(SPAM)

  メールアドレスを持つと、頼みもしないアダルトサイトやネズミ講な
  どの怪しげなメールが届きます。
  いちいちつき合うかどうかはあなたのご自由ですが、「不必要ならこ
  のまま返送してください」というのに正直に反応するのは自殺行為と
  心得てください。
  この種のメールは大量にかき集めたアドレスに自動発信するので、た
  とえ「お断り」とあろうとメールが返ってきたということは、この宛
  先に真面目にメールを読み返事する人が居るということで、倍返しで
  同種のメールが届くこと請け合いです。
  一見したところでは普通のメールマガジンのような体裁のもあります
  が、要は自分で登録した覚えのないものに取り合う必要はありません。
  迷惑メールは無視しておくのが、唯一最良の対処です。
  

8.ML メーリング・リスト

  新しく参加するときは、自己紹介しましょう。
  多数の人が参加してメールを交換するメーリングリストでは、ネット
  の負荷を不必要に増やしたり、ウイルス感染の危険のある行為には、
  特にきびしく注意してください。
  上記の・添付・チェインメール・返信のルールを守るのはもちろんで
  す。自分の発信したメールに余計なゴミがくっついて居ないか点検し
  てください。

  MLでお化けメールを受け取ったとき「オレのところにこんなのが来
  たぞ」と実物を添付したまま返信してはいけません。騒ぎが拡大して
  ゆくだけです。
  MLの管理者に連絡して、断ったうえで一対一メールでお化けの現物
  を送るなりしてアドバイスをもらうのが良いでしょう。
  複数のMLに参加しているとき、例えば「自動化」のMLと「マイコ
  ン」のMLに「こんなことについてお知恵を拝借」などと、同じ内容
  のメールを送るのはマルチポストといって、MLではきらわれる行為
  です。どうしても必要がある場合は、断ってからにしましょう。

  上記の返信の項でも述べましたが、MLは多くの方に同一文が届くこ
  とを常に意識してください。
  企業内のメールアドレスで「誰それは出張のため×日から×日までお
  返事出来ません」というのを自動的に返信するところがあります。
  私は大学ワンゲル部OBのMLに参加していまして「久しぶりに×山
  に登りました」「飲み会をやろうよ」などというメールを楽しんでい
  ますが、メンバーの中に(後輩だ!)受け取りアドレスを会社のにし
  ているヤツが居て、時々「出張不在」が出ます。
  誰かがメールを投稿するたびに自動的に「出張不在」が出て、全員に
  配送されることになります。
  え、「それが何か」ですか...

9.ホームページ・掲示板

  メールは手紙ですが、ホームページを開いたり掲示板に書き込んだり
  するのは不特定多数の(世界中の)人の目に触れる訳なので、注意が
  必要です。
  他の人がイヤだと思うことを書いてはいけません。
  自分自身も含めて、プライバシーに関する事項、住所・氏名・生年月
  日・写真なども公開すべきではありません。。

  ホームページは多くの人に見てもらうのが目的のはずですから、公開
  されているURL(ホームページのアドレス)にリンクを張るのは、
  断りなしに自由にしても法的には問題ないのですが、私は「そちらの
  ホームページをリンクします」という連絡を受けるとニコニコする方
  なので、特に個人が作って居られるところに対しては礼儀・たしなみ
  の点からあらかじめことわるようにしています。リンクフリーと断っ
  てあればもちろん不要です。
  「リンクの場合は連絡を」とあればそうするべきでしょう。
  忙しい方で、いちいち返事は出せないということもありますから、「
  お返事を頂けなけれぱ、一週間後にリンクさせていただきます。」ぐ
  らいで、構いません。
  ただし著作権の点から、文章や画像などを勝手に転載してはいけませ
  ん。転載自由とあっても、勝手に書き換えたりするのは著作権にふれ
  る違法行為です。

  インターネットは世界につながります。政治・宗教・風俗・習慣など
  にからんで、なんでもないと自分が思うことでも、どこかの人が不愉
  快になったり、どこかの国で違法行為とされることがあります。
  

10.インターネットの世界

  インターネットは、研究所・大学・研究機関といった「その道の人」
  が中心になって始まったコミュニケーションの手段ですが、私のよう
  な普通の市民にとって最初の手段は、パソコン通信でした。
  あるパソコン通信のグループに入ると
   ・メール      グループ内でのメール交換
   ・掲示板(BBS) グループ内での意見や情報の交換
   ・ライブラリ    グループ内でのデータやプログラムの交換
  などが出来ました。
  やがて、しかるべきプロバイダに入ることによって、だれでも世界
  中の人とメールをやりとりしたり、世界中のホームページを見たり
  自分で作ったホームページを世界中の人に見てもらえるようになり
  ました。
  ところで、インターネットの初期からあってその道の人には愛用さ
  れているが、普通の人にちょっと敷居の高いものに、NetNews があ
  ります。一見、普通のメールのようですが、メールは送る相手のい
  わば私書箱にまっすぐ送られるものであり、MLは同じ仕組みで登
  録した複数の私書箱に送られるのに対して、NetNews はまず自分の
  属するプロバイダ(あるいは各種機関)のニュースグループに送ら
  れ、そのプロバイダに入っている人だけが読み書き出来ます。
  また、プロバイダは世界中のニュースグループの中から、自分のと
  ころに必要なニュースグループを登録して送ってもらい、メンバー
  が読み書きできるようにします。
  詳しくは、たとえば GOOGLE のような検索サイトでNetNews を探し
  て勉強してください。
  
  日本語が主というニュースグループもありますが、世界が相手なの
  で、ほとんど英語です。その道の人が多く居て、いろいろ決まり事
  もあるので、うっかり発言すると「親方の会話に口を出した新入り」
  みたいに「返事の代わりにトンカチが飛んできた」みたいなことも
  ありますが、読むだけならお手持ちのソフトで出来ます。
  メールやMLとお作法が違いますが、慣れるとこれぞインターネッ
  トと感じられるでしょう。